かつてのレーガン大統領の政治手法
かつて総理大臣だった大平さんは「若い時代に、総理になろうなんて夢にも思わなかった」と言い、鈴木善幸氏に至っては、恐らく一週間前まで本人を含めて誰も、彼が総理になるとは思わなかったといいます。
ですが、中曽根さんは常に総理総裁になることを現実的に目ざして、努力し、実行してきたそうです。
対談の中で、ある記者さんは中曽根総裁にこう言ったそうです。
「レーガン大統領は、グレート・コミュニケーターと言われている。あなたも、その道を歩んだらどうですか」
「なるほどね。グレート・コミュニケーターですか」
そう言って、彼はメモをとったそうです。田中角栄は記憶力が抜群で、全部頭の中に入れてしまうそうですが、知る人ぞ知る中曽根さんはメモ魔なのだそうです。
大統領選の直前に、記者さんはレーガソに会ったことがあるそうです。その時彼は、「私もあなたと同業なんですよ」と話したそうです。彼がラジオのディスク・ジョッキーをしていたからです。
ディスク・ジョッキーといっても、音楽番組の解説ではなく、時々刻々と移り変わる国際情勢や政治について、ラジオ解説をするんだそうです。
レーガンは映画俳優出身だし、カリフォルニア州知事として成功したとはいえ、議会人としての生活はなく、政治家としてのキャリアもそれほどではありませんでした。
そこで、レーガンの最大の武器は、国民とうまくコミュニケートすることにあったわけです。たとえば、新しい政策を考えても、議会の反対にあってその法案が通らない時があります。
すると彼は、テレビやラジオに出て、直接国民に訴えかけるわけです。そこで大きな支持をとりつけて、国会議員たちの反対を押し切る・・というやり方です。